この企画、ざっくり言うと
この記事を初めて読む方へ、まず企画の前提を5行でご紹介します。
・テーマ:ChatGPTが選ぶ銘柄は市場に勝てるのかを、ルール固定で1年間検証する企画です。
・期間:2026年1月から12月まで、毎月1回運用しています。
・やり方:月初に原則3銘柄を購入し、途中で売らず、月末に一括で売却します。
・条件:新NISA(成長投資枠)+SBI証券+S株(単元未満株)を中心に運用しています。
・記録:毎月「選定理由→運用→損益→振り返り」を公開し、年末に総決算します。

今週の一行
AIが「AIで伸びる」と読んだ銘柄が、歴史に残るAI急騰相場に乗り遅れた週でした。
AIの通知表
6月第3週(2026年6月15日〜19日)の結果は、以下のとおりです。
・投下額:80,494円
・第3週評価額:80,716円
・今週の損益:+222円/+0.3%
・第2週からの改善幅:+840円(評価額79,876円→80,716円)
・1月からの累計損益:+919円
参考に、同じ期間の日経平均は前週末66,020.04円から+5,230.02円高い71,250.06円まで上昇し、週間で+7.92%を記録しました。
ポートフォリオの週次変化率は約+1.0%(評価額ベース)。
日経平均の+7.92%と比べると、約7%分のリターンを取り逃したことになります。
歴史的な大相場の中で、AIの選んだ3銘柄は静かに動かなかった、というのが今週いちばん大事な事実です。

ChatGPTは正しかったか
今週のメインの問いです。
ChatGPTは6月、3つの「役割」で銘柄を選びました。
それぞれの読みと、実際の動きを並べてみます。
■NTT(9432)守り枠
・ChatGPTの読み:「ディフェンシブで下値を支える守り枠」として選定
・実際の動き:第2週148.3円 → 第3週144.4円(前週比 約-2.6%)
・背景:6月8日に年初来安値144.3円を付けた水準のまま、戻り切れない展開【確実】
・検証:歴史的な株高の週に、情報・通信セクターは「資金がグロース株へ移動した側」に位置していた。守りどころか、下落の影に隠れる週となりました。
■日立製作所(6501)AI・電力・インフラ成長枠
・ChatGPTの読み:「AI、電力、インフラ成長」として選定
・実際の動き:第2週4,639円 → 第3週4,764円(前週比 約+2.7%)
・背景:6月17日に米OpenAIとの基幹システム連携が報じられたものの、株価は反応が限定的でした。市場では「日立株、最高値から2割安、社会インフラにAI、成長策に不安先行」との日経ヴェリタスの記事も出ています【確実】。
・検証:AI関連株が市場全体で急騰した週に、AI枠として選ばれた日立は、ほとんど波に乗れませんでした。「AI銘柄」と「AI相場で買われる銘柄」は別物だった、という結果です。
■三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)金利上昇メリット・銀行株枠
・ChatGPTの読み:「金利上昇メリット、銀行株」として選定
・実際の動き:第2週3,166円 → 第3週3,278円(前週比 約+3.5%)
・背景:6月18日に年初来高値3,394円を更新したのち、6月19日は前日比-2.85%の3,278円で反落【確実】。週間としては大きくプラスです。
・検証:銀行株は今週の上昇セクターの一角でした。読みと現実が比較的近かった銘柄です。今週の利益はほぼこの1銘柄が支えました。


市場は何を考えていたか
今週の相場は、複数の出来事が同時に重なった「お祭り週」でした。
順を追ってご説明します。
一つ目は、米国とイランの戦闘終結の報道です。
日本時間6月15日早朝、トランプ米大統領がSNSで「イランと戦闘終結で合意」と発信したことで、地政学リスクへの警戒感が大きく後退しました。
この影響で原油価格が急落し、世界全体が「リスクオン」(リスク資産が買われやすい)モードに切り替わりました。
二つ目は、米国でのスペースX上場というイベントの通過です。
これにより、AI・半導体への買い戻しが一気に進みました。
日経平均は6月15日だけで前週末比+3,297円高(+4.99%)の69,317.50円まで急騰し、史上最高値を更新しました。
三つ目は、日銀政策決定会合やFOMCを警戒して積み上がっていた先物の売りポジションが、一斉に巻き戻されたことです。
これも上昇に勢いを足しました。
つまり今週の急騰は「地政学」「AI・半導体への資金集中」「先物のショートカバー」の三段ロケットでした。
ここで重要なのは、上昇の中身です。
日経平均は+4.99%でも、TOPIXは+3.03%。
一部のハイテク株や半導体株、銀行株に資金が集中し、ディフェンシブ株(業績変動が小さい安定株)はむしろ売られています。
NTTのような情報・通信株は、まさにこの「売られた側」に入っていました。
日立はAI銘柄ですが、相場が選んだのは半導体製造装置やデータセンター関連の主役級でした。
日立はその波の周辺にいて、強く買われきれなかったのです。

この実験で見えてきたこと
今週のいちばん大きな学びは、「AIで選んだAI銘柄」と「AI相場で買われる銘柄」が同じではない、ということです。
ChatGPTは銘柄を「構造」で選びます。
たとえば日立であれば、「AI、電力、インフラの成長を取り込める総合電機メーカー」という、地味だけれど筋の通った理由を提示します。
これは正しい読み方のひとつです。
ところが市場は、構造よりも「今週起きた出来事」に強く反応します。
今週なら、停戦合意とスペースX上場というイベントに直撃した半導体株や先物関連株が主役でした。
日立は「将来の成長」では正しくても、「今週の主役」ではなかった、というだけのことです。
これは料理に例えると、ChatGPTが「健康に良い食材」を選んでいるのに対して、市場は「今夜いちばん人気の店」に並ぶようなものです。
栄養価が高いことと、その夜に行列ができることは、別の話なのです。
もうひとつの観察は、AIが意図せず作った「分散」が機能している点です。
NTTと日立はマイナスでしたが、三菱UFJのプラスがそれを覆い隠してくれました。
3銘柄を異なる役割で選ぶ、というルールが、結果として「全滅しない仕組み」になっていました。
これは設計の意図というより、結果論としての分散効果です。
ただ、こうした副産物が記録に残ること自体が、この検証の面白さでもあります。

来週の問い
来週は、日経平均が7万円を超えた高値圏で、過熱感が警戒される週になります。
ChatGPTが「AI、電力、インフラ成長」と読んだ日立は、AI相場の波に乗り切れていません。
来週、その日立が反発するのか、それともAIの読みと市場の主役のズレが続くのか。
答えは、月末の最終結果が出すことになります。
参考
来週(6/22~6/26)の日経平均株価の予想レンジは6万8800~7万7500円!(ザイ・オンライン)
日立製作所【6501】株価/日経会社情報DIGITAL
三菱UFJフィナンシャル・グループ【8306】株価/日経会社情報DIGITAL
NTT【9432】株価/日経会社情報DIGITAL
注意点
この記事は投資助言ではありません。
提示データと公開情報にもとづく検証記事です。
将来の株価や運用結果を保証するものではありません。
特定銘柄の売買をすすめるものでもありません。
最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。




