この企画、ざっくり言うと

「ChatGPTが選んだ日本株は、市場に勝てるのか」——この問いを、1年かけて実際のお金で検証しています。

・テーマ:ChatGPTが選ぶ銘柄は市場に勝てるかを、ルール固定で1年検証
・期間:2026年1月〜12月、毎月1回運用
・やり方:月初に原則3銘柄を買い、途中で売らず月末に一括売り
・条件:新NISA(成長投資枠)+SBI証券+S株(1株単位で買える少額取引)中心
・記録:毎月「選定理由→運用→損益→振り返り」を公開し、年末に総決算

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7月の銘柄選定:「勝ちに行く」プロンプトが初めて選んだ3銘柄

7月は、この企画にとって小さな転換点です。1月から6月まで使ってきたChatGPTへの問いかけ方(プロンプト)を、7月から大きく変えました。その変更が実際に何を変えたのか——まずその背景から整理します。


〔INF-01 ここにインフォグラフィック挿入:1〜6月と7月のプロンプト変化の対比〕

1月から6月にかけては、「負け筋排除型」と呼ぶプロンプトを使っていました。銘柄を選ぶとき、最初にやることは「危ない銘柄を消すこと」でした。高値づかみになりそうな銘柄、決算発表を控えた銘柄、信用買い残が積み上がっている銘柄——こうしたリスクのある銘柄を順番に除外し、最後に残った比較的負けにくい3銘柄を選ぶ方式です。大損を避けることが成功の定義でした。

この方式の弱点は、続けるほどはっきり見えてきました。「大きく負けにくい銘柄」を選んでも、「1ヶ月以内に上がる理由」がなければ利益は増えません。高配当だから、大型株だから、割安だから——これらはどれも、来月の株価が上がる直接的な理由にはならないのです。

7月から使い始めたのは、「勝ち筋先行型」と呼ぶプロンプトです。探し方の順番が逆になりました。最初にやることは「1ヶ月以内に上がる材料がある銘柄を探すこと」です。その材料が売却日まで続きそうか、すでに株価に織り込まれていないか、リスクリワード比率(想定上昇幅÷想定下落幅)は十分か——こうした確認を経て、最後に3銘柄合計の税引後損益をシミュレートします。また3銘柄の材料が同じテーマに偏りすぎていないかも確認します。同じ材料の銘柄が重なると、そのテーマが崩れたとき2銘柄同時に下落するリスクがあるからです。

今月の7月選定は、この新しいプロンプトが初めて出した答えです。


〔INF-02 ここにインフォグラフィック挿入:7月3銘柄の選定理由と購入株数の根拠〕

選ばれた3銘柄と購入株数は次のとおりです。

フジクラ(5803)3株、FOOD & LIFE COMPANIES(3563)6株、T&Dホールディングス(8795)5株。

テーマはそれぞれ「AIデータセンター需要」「海外外食成長」「自社株買い」と、意図的に分散されています。最初の選定案では、フジクラと三菱重工業(電力インフラ関連)が合計62.7%を占める構成になっていましたが、同テーマへの集中を避けるため三菱重工業を外し、最終的にこの3銘柄の組み合わせに落ち着きました。

購入株数にも根拠があります。フジクラは材料が強い一方で、急騰後・高ボラティリティ・信用買い残の重さという3つのリスクがありました。4株では、フジクラが−10%下落した場合にポートフォリオ全体がマイナスになるというシミュレーション結果が出たため、3株に減らしました。FOOD & LIFE COMPANIESは株式分割後でチャートが読みにくかったため、予算の35%以内に収まる6株に設定。T&Dホールディングスは3番手補完と位置づけ、7月末の日銀会合リスクを踏まえて現金余力を残しつつ5株としました。

今週の一行:3番手補完が、唯一のプラスで全体を支えた週

「本命」として選んだフジクラ(5803)が第1週で−9.6%まで急落し、「補完」として組み込んだT&Dホールディングス(8795)が+3.4%で踏みとどまった——勝ち筋先行プロンプトが初めて迎えた週は、役者の序列が逆転した展開になりました。

AIの通知表:第1週は −1,437円、予算比 −1.6%

第1週末の数字を整理します。

投下した70,139円に対して、評価額は68,702円。損益は−1,437円で、株式部分の損益率は−2.0%でした。予算全体(90,000円)で見ると、現金19,861円を含む総資産は88,563円で、予算比の損益率は−1.6%です。


〔INF-03 ここにインフォグラフィック挿入:ポートフォリオ全体の資産内訳と損益サマリー〕

6月末時点の累積損益は−427円でしたので、今月第1週の−1,437円が加わり、月間ベースではスタートラインより下の位置にいます。日経平均が7月3日に69,744円で引けたことを踏まえると、地合いとしてはやや荒れた週でした。現金を22%近く残したことで、全体の下落率を−1.6%に抑えられているのは、プロンプトが意図した設計の一つです。

ChatGPTは正しかったか:3銘柄の読みと、市場の答え合わせ

勝ち筋先行プロンプトは、3銘柄それぞれに「上がる理由」を持たせました。では第1週、その理由は市場に評価されたでしょうか。


〔INF-04 ここにインフォグラフィック挿入:ChatGPTの読みと第1週実績の対比表〕
〔INF-05 ここにインフォグラフィック挿入:銘柄別損益と全体への寄与度〕

フジクラ(5803):読みの正しさよりも、タイミングが先に来た

ChatGPTの読み:生成AI普及によるデータセンター向けケーブル需要の急拡大。2027年3月期営業利益を前回予想比46.9%増に上方修正済みという強い材料を評価。高ボラティリティ(値動きの大きさ)を警戒して3株に抑えて購入。

実際の動き:−1,713円、−9.6%の下落。

検証:選定時から「急騰後の反動が出やすい銘柄」として警戒していたリスクが、第1週にそのまま出た形です。「読みが外れた」というより、悪いシナリオが想定より早く来た、というのが正直な印象です。3株に抑えた判断は結果的に機能しました。もし4株購入していれば、損失はさらに570円ほど大きくなっていました。

FOOD & LIFE COMPANIES(3563):材料は正しい、ただ市場はまだ見ていない

ChatGPTの読み:海外スシロー事業が売上収益前年同期比60.0%増、セグメント利益100.3%増と急伸しており、AI株や株主還元とは異なる材料として分散軸に採用。

実際の動き:−534円、−1.9%の小幅下落。

検証:材料がすぐに株価に反映されるわけではないのが、相場の難しさです。アナリストが目標株価を引き下げたことも重なり、市場の視線はまだ慎重なようです。−1.9%はまだ許容範囲ですが、「材料が評価されるのを待っている状態」か、「市場が見切りをつけ始めた」かは、もう少し見なければわかりません。

T&Dホールディングス(8795):3番手が、いちばん選定理由どおりに動いた

ChatGPTの読み:300億円・1,200万株を上限とする自社株買い(会社が自分の株を市場で買い戻す仕組み)が進行中で、6月末時点で約62.6億円分を取得済み。継続的な株価下支えを期待して補完枠として採用。

実際の動き:+810円、+3.4%の上昇。

検証:選定理由がそのまま機能した形です。面白いのは、「本命ではなく補完」として役割を明示した銘柄が、第1週でいちばんきれいな動きをしたことです。自社株買いは会社が継続的に市場で株を買い続けるため、短期の相場環境に左右されにくい支えとして機能しやすい。この性質が第1週に出ました。

市場は何を考えていたか:AI半導体の乱高下が、構成を試した週

7月第1週の日本株市場は、一言で言えば乱高下の週でした。

〔INF-06 ここにインフォグラフィック挿入:7月第1週の市場動向タイムラインと直近イベント〕

7月1日は米国のAI・半導体関連株高を受けて日経平均は上昇しましたが、値上がり銘柄数より値下がり銘柄数が多く、指数だけが上がる歪んだ地合いでした。7月2日は一転して前日比1,741円安の大幅反落。AI・半導体関連への利益確定売りが集中し、フジクラを含む高ボラ銘柄が直撃を受けたとみられます。一方でTOPIXは小幅上昇と、指数と全体銘柄で動きが分かれました。7月3日は半導体の押し目買いが入り、日経平均が+1,010円の69,744円で週を終えました。

フジクラの下落は、6月下旬から続いたAI・半導体関連の調整の延長線上にあるとみるのが自然です。一方でT&Dが上昇したのは、金利が歴史的な高水準まで上昇する局面で、生命保険株(保険料を運用する会社)に資金が向かいやすい面があったからかもしれません。AI・半導体の売りと保険株の買いが同時に起きるというのは、ポートフォリオ内の自然なヘッジ(リスクの打ち消し合い)として機能した週でした。

また、7月末にはFOMC(米連邦公開市場委員会、7月28〜29日)と日銀金融政策決定会合(7月30〜31日)が控えています。今月の売却想定日である7月30日と日程が重なるため、現金を22%近く残した構成はイベントリスクに備えた設計としても機能しています。

この実験で見えてきたこと:プロンプトを変えても、AIは「タイミング」を選べない

7月からプロンプトを「勝ち筋先行型」に変えました。上がる理由を先に探し、材料の持続性を確認し、3銘柄合計の税引後損益をシミュレートする——1〜6月より手の込んだ設計です。

でも第1週の結果を見ると、プロンプトを変えても変わらなかったことがひとつあります。

AIは「理由」を選べますが、「タイミング」は選べない、ということです。

フジクラの選定理由——AIデータセンター向けケーブルの需要拡大、46.9%増の上方修正——は今も間違っていません。材料そのものは生きています。ただ市場は、第1週に「その材料」ではなく「AI半導体全体の地合い」に反応しました。良い材料があっても、相場の波に乗っている最中は一時的に押される。これは1月から7月まで何度も繰り返されているパターンで、プロンプトを変えても解決されていません。

一方で面白いのは、役割を明確に分けたことの効果です。「本命」「補完」とポジションを事前に整理したことで、T&Dが1番手でないことへの戸惑いがなく、補完としての結果を素直に評価できます。1〜6月では3銘柄を比較的同列に扱っていたため、「どの銘柄が機能したか」の分析が後付けになりがちでした。役割を先に決めておくと、検証がしやすくなる——これは小さいようで、記録を積み重ねる上で効いてくる変化だと感じています。

来週の問い

フジクラ(5803)は第1週で−9.6%まで下落し、選定時に想定していたリスクケースにほぼ到達しました。来週、5,300円台で下げ止まれるのか、それとも月末に向けてさらに押されるのか——ChatGPTが「AIデータセンター需要」という理由で選んだこの銘柄が、材料に追いつかれる前に終わってしまうのか、それとも理由が市場に届く週が来るのか。

よくある質問

Q. この企画は何をしているのですか?
A. ChatGPTが選んだ日本株を、月初に買い月末に売るルールで2026年1年間検証しています。損益の結果だけでなく、AIの判断が市場にどう評価されたかを記録するドキュメンタリーです。

Q. 7月からプロンプトが変わったとはどういうことですか?
A. 1〜6月は「危ない銘柄を先に除外して残った銘柄を選ぶ」方式でした。7月から「上がる理由がある銘柄を先に探し、3銘柄合計で税引後プラスになりやすい組み合わせを作る」方式に変更しています。問いの立て方を変えることで、ChatGPTが選ぶ銘柄とその根拠がどう変わるかを検証しています。

Q. なぜ3銘柄のテーマを分散させるのですか?
A. 同じテーマの銘柄が重なると、そのテーマが崩れたとき2銘柄同時に下落するリスクがあります。7月はAI・海外成長・自社株買いと異なるテーマに分けることで、一つの材料で全体が崩れにくい構成を目指しました。

参考

日経平均株価 時系列データ(松井証券)
フジクラ(5803)株価情報(Yahoo!ファイナンス)
T&Dホールディングス(8795)株価情報(Yahoo!ファイナンス)
週間ランキング【値上がり率】7月3日(株探ニュース/Yahoo!ファイナンス)
日本市場レポート 2026年6月27日(宮野宏樹 note)

注意点

この記事は、提示データおよび公開情報に基づく検証記録です。投資助言ではありません。特定銘柄の購入・売却・保有をすすめるものではなく、将来の運用結果を保証するものでもありません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

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